日本ワイナリー協会が緊急の要望書を提出

2016年12月08日

 平成29年度税制改正について、酒税に関してもさまざまな報道が飛び交っているが、ワインの酒税改正が議論されていることが分かり、日本ワイナリー協会では緊急の要望書を提出した。

 現在、与党税制調査会は、平成29年度税制改正において、ビール類の酒税一本化と、清酒とワインの税率一本化について検討に入った。これは、平成28年度税制改正大綱において、「類似する酒類間の税負担の公平性の観点等を踏まえ、同一の分類に属する酒類間の税率格差を縮小・解消する方向で見直しを行い、速やかに結論を得る」との方針に沿うものだが、増税で議論されている日本ワイナリー協会は、「ワインの原料、製法、味わいのどれをとっても清酒との類似性はない。醸造酒というくくりのみを捉えて、清酒とワインを同一視して税率を同水準にしようとする考え方は、極めて不適当だ。国際的にもワインの税率は概ね低く、ドイツ、イタリア、スペインでは無税、フランスでは極めて低い税率となっている現状も勘案すべきだ」とする緊急の要望書を与党に提出した。

 要望書では、「ワイナリーのほとんどは中小・零細であり、生産数量も経営規模も小さく極めて脆弱な経営基盤だ。ワインに対しては平成15年に25%、平成18年に14%と2度も大幅に増税されており、さらに増税が行われると、ワイナリーにとって計り知れない打撃を被ることになりかねない。ワインの増税は、近年、堅調な伸びを示しているワインの輸入を腰折れさせる懸念がある」として、ワインに対する増税は「絶対に行わないように」と強く要望した。

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 また、各ビールメーカー代表もそれぞれビールの大幅な減税を引き続き要望している。

 各メーカーとも「まだ、正式に決まったことではない。ビール類の減税要望は、ビール酒造組合で行っている」としながらも、それぞれ要旨、次のように述べている。

 アサヒグループホールディングス小路明善社長は、「ビール類の大幅な減税を引き続き要望していく。減税を速やかに、早期に実現するよう、要望する」とした。

 サッポロビールの尾賀真城社長は、「今、話し合われている内容は、業界が要望している〝大幅な減税〟ではない。一本化はいい面と悪い面の両面あると思う。チューハイとの価格差が生じることへの懸念もある。発泡酒、新ジャンルの価格が上がることで需要に影響はあるだろう」とした。

 キリンビールの布施孝之社長は、「仮に今の議論のまま実行されるとなると、時間軸がどのようになるのかが懸念されるところだ。われわれとしてはビールを強化していくのは当然だ」と話した。