「酒類卸売業者の概況」をまとめ発表

2016年12月07日

 国税庁は「酒類卸売業者の概況」をまとめ発表した。それによると、酒類卸売免許を有する企業1408者のうち、欠損および低収益企業は623者あり、全体の44%が欠損、低収益状態にあることが分かった。また、全従業員数も前年に比べて3000人も減少するなど、厳しい経営環境が続いている実態が明らかとなった。

 国税庁は「酒類卸売業者の概況」をまとめ発表した。

 調査は平成27年4月1日現在で、全酒類卸売業またはビール卸売業の酒類販売業免許を有する酒類卸売業者1565者を対象に行われ、うち1408者から回答を得た。回収率は90%になる。

 1408者の総販売数量は、1187万5640klで前年度に比べ11・9%の減少となった。

 販売先別では、小売業向けが767万1709kl(前年比9・9%減)で最も多く構成比は64・6%となり、次いで卸売業者向けが277万8752kl(23・6%)で構成比は23・4%とともに減少した一方、対消費者向けは142万51785178kl(7・3%増)で構成比は12%と増加した。

 酒類別では、ビールが最も多く368万3779klとなり構成比は31%となり、スピリッツ・リキュールが334万5757klで28・2%、焼酎が130万9086klで11%、発泡酒が101万6074klで8・6%、清酒が85万8536klで7・2%、その他の醸造酒が71万7309klで6%と続く。

 酒類卸売上高は4兆7778億6900万円で前年より6000億円程度減少した。酒類卸売の売上総利益は2794億9900万円で、900億円程度の減少となった。

 一企業平均では、総販売数量は8434klとなり、総売上高は288億7200万円で微増となった。

 総従業員数は18万6430人で前年の13万4001人に比べて5万人強増えた。うち、酒卸部門の従業員数は1万8202人となり、前年の2万1137人に比べて減少した。

 現在の卸売業者数は、資本金1億円以下、従業員100人以下の中小企業が最も多く、1121者あり、全業者に占める割合は79・6%にのぼる。次いで、資本金1億円以下、従業員100人以上の企業が90者で割合は6・4%となり、従業員100人以下の個人は77者あった。一方で大企業は84者で全体の構成比は6%を占めた。

 また、回答した1408者のうち欠損および低収益の企業数は623者となり、その割合は44・2%と高い数字を示した。特に欠損企業は480者あり、うち営業利益赤字の企業は427者と、卸売事業者が依然、多くの企業で営業赤字が続いている実態が明らかとなった。

 中でも中小企業で48・8%が欠損および低収益となっており、中小の卸売業者の経営は厳しい状況にある。一方で、大企業の欠損および低収益の割合は10・7%となっており、卸売業者の経営は、売上金額が大きくなるにつれて欠損および低収益企業の割合が低くなっているのが分かる。