広島国税局 中国5県鑑評会 2016結果

2016年11月10日

 【広島】「技術の結集・優等賞73銘柄が決定」――。酒類行政に取り組む広島国税局(広島市)は、管内・中国5県の酒造技術を発展させる平成28年「清酒鑑評会」を開催。全3部門の出品68者186点のうち、香味のバランスや後味のキレに優れて技術力の高い73点を最高位の「優等賞」に選んだ、と発表した。

 「優等賞」の受賞者は、11月9日(水)の「表彰式」(午後1時半から1時間、広島合同庁舎1号館・附属棟2階・大会議室)で「表彰状」を授与。あわせて同日は、製造関係者ら約100人を対象に出品酒をきき酒できる「製造技術研究会」(式終了後~4時、同庁舎2号館1階・第18号会議室)もあり、酒造技術の向上に役立ててもらう。

 3部門の内訳(出品/優等賞)は、▽「香りを主たる特徴とする清酒」(温度約20度)=66点/26点▽「味を主たる特徴とする清酒」(同)=63点/25点▽「燗酒」(約40度)=57点/22点。広島国税局の鑑定試験室を会場に9月29日(木)から2日間で予審、10月4日(火)に決審をした。

 「品質評価」は、官能評価(きき酒)で、中国地方の各県酒造技術指導機関をはじめ、「広島大学」、「酒類総合研究所」、清酒製造、小売店、鑑定官ら約30人が「品質評価員」をつとめ、「個人的な好みでなく技術的観点から香味やバランスなどを厳正に総合評価した」という。

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 【優等賞(県別場数・者数)】

 香り部門▽鳥取なし▽島根=吉田酒造など3場▽岡山=室町酒造など4場▽広島=相原酒造など14場▽山口=岩崎酒造など5場

 味部門▽鳥取=大谷酒造など2者▽島根=米田酒造など3者▽岡山=宮下酒造など6者▽広島=久保田酒造など11者▽山口=金分銅酒造など3者

 燗酒部門▽鳥取=稲田本店のみ▽島根=旭日酒造など5者▽岡山=高祖酒造など9者▽広島=中尾醸造など6者▽山口=中島屋酒造場のみ

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 ※入賞率は▽香り部門(5県平均39%)=最高は広島54%で次いで山口50%▽味部門(40%)=鳥取と広島ともに50%▽燗酒部門(39%)=トップは岡山60%で次いで島根56%▽全体(39%)=広島45%、岡山40%、島根38%、山口33%、鳥取21%の順。

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 【審査報告/小山淳鑑定官室長】

 ▽出品酒の総評としては、高度な醸造技術と細やかな貯蔵管理で、優れた品質の酒が多かった。

 ▽香り部門は、華やかな香りと上品な味が調和したものが多く、落ち着いた香りと適度な熟成で、まろやかな旨みが調和したものもあった。

 ▽味部門のタイプは、スッキリしたもの、酸味がきいてキリっとしたもの、旨みが良く出たもの、熟成で滑らかな口当たりのものなど幅広かった。

 ▽燗酒部門の多くが、燗により清酒本来の甘みが増して口中にふくよかな味わいが広がるもの、適度な熟成で香りとコクが柔らかく調和するもの、スッキリとした味わいで口当たりが良いものなど幅広い温度帯で楽しめる清酒の奥深さを感じさせた。

 ▽品質優良で、個性豊かな製品を消費者に提供し、伝統ある中国地方の清酒の名声が国内にとどまらず海外まで広がるよう祈念したい。