大阪国税局  清酒鑑評会の出品酒公開

2016年11月10日

 【大阪】大阪国税局は10月28日、平成28年度「清酒鑑評会」の出品酒公開を大阪市中央区の大阪合同庁舎第三号館・鑑定官室で開催した。

 同会は、清酒鑑評会の出品酒を製造関係者等に公開することを通じて、酒類製造技術の進歩、発展および品質向上を図り、酒類業の発達に資することを目的に開催しており、酒類製造者や酒類販売業者など約130人に公開した。

 出品酒は、大阪国税局管内の清酒製造場で製造された清酒139点で、出品区分は、▽吟醸酒=80点(平成27酒造年度に製成した吟醸酒。純米吟醸酒を含む)▽燗酒用清酒=68点(精米歩合60%以上の清酒で、燗をして約45度Cで評価した清酒)▽地域ブランド清酒(各地域ブランドの規格を満たしているもの)=46点(従来の吟醸酒とは違うタイプのもの)――の合計194点を揃えた。

 出品酒の酒質の傾向について、鑑定官室では、「平成27酒造年度は、西日本では8月中旬から9月中旬にかけての気温が平年よりかなり低めとなり、原料米は晩生の品種を中心に例年より溶けやすい傾向が見られた。気象条件は、暖冬傾向だったが1月下旬には記録的な寒波が襲来するなど、寒暖の差が激しく酒造りには厳しい状況であった。しかし、製造者が長年培われた卓越した酒造技術を遺憾なく発揮したこと、夏場に適切な貯蔵管理を行ったことにより、今回出品された清酒は、香味の調和のとれたレベルの高い酒質のものが多く出品された」とコメントした。

 吟醸酒については「果実を思わせる華やかで芳醇な吟醸香と、夏を越して適度に熟成され口当たりがまろやかな豊かな味わいのあるものが揃った」と、燗酒用清酒については「香味はバラエティに富んでおり、適度に熟成し、旨味を感じるキレの良い飲み飽きしない酒質のものが多い」と評価した。

 また地域ブランド清酒については次のとおり評価した。

 ▽京のブランド産品=香りは上品なタイプから華やかなタイプまで多様性があり、味はなめらかさとキレの良さのある味わい▽京都吟味百撰=香味の調和がとれた、適度な甘味を感じる酒質▽灘の生一本=華やかな香りの吟醸タイプから、熟成した香りと濃醇な味わいのタイプまで、各社のコンセプトにそったお酒に仕上がった▽庭酒=昔ながらの造りの特長を持つ、香りは個性的で重厚、味は濃醇で酸味が強いインパクトのあるお酒となった▽奈良うるはし=上品で穏やかな香りと、なめらかな味わいが特長的▽山乃かみ=重厚な香りと旨味があり、酸に特長がある個性的なお酒が多い▽菩提●研究所=全体的に旨味を感じ、辛口から甘口、淡麗から濃醇まで多様な酒質に仕上がった

 鑑定官室の岩槻安浩鑑定官室長は、「今年の清酒は、香味の調和が取れたものが多かった。全国的にも同じ傾向だが、口当たりとしては全体的に甘めなお酒が多く感じる。燗酒は生●系が多く、旨味を感じる酒質のものが多かった」と出品酒についてコメントした。

※●は「もと」(酉へんに元)