堺泉酒造「利休蔵」を披露

2016年10月31日

 【大阪】堺泉酒造(大阪市堺市甲斐町西3―3―4、西條裕三社長)が堺市内の土井川沿い適地の新酒造場「利休蔵」を建設し、平成28年9月に移転し、新たな酒造りスタッフも加わり新酒仕込みを進めていた。21日、「利休蔵」の披露会を開催し、堺市・竹山市長、利休の会・夢衆の会、伊藤忠食品など総勢300人が出席し、竣工と新酒の出来を祝った。

 「堺」の地酒は京都・伏見、兵庫・灘と並ぶ酒どころと言われ、かっては95軒もの酒蔵が軒を連ねていたが、市内から酒蔵が消滅(1971年)して44年、平成26年12月に同社は堺市内に酒蔵を復活。酒名は、堺に生まれ茶の湯を確立させ平成34年に生誕500年を迎える「千利休」の名を命名し、コツコツと丹精込めた酒造りで、年間5000本(1・8l換算)を出荷。さらに高品質のお酒を醸し、より沢山の人に堺の御酒を届けるために酒蔵の移転を計画していた。

 特色は、同社を日本酒文化の継承に向けて、行政・市民・企業が支援していくこと。堺市では伝統産業と観光産業の発展に力を入れており、市の運営する文化施設・観光施設やネット販売などで「千利休」の販売を計画。同社も、堺市に来た観光客が堺の酒文化を学習できる設備や直売所の設置を検討していく。

 また酒類・食品卸の伊藤忠食品が新たな販路・市場の開拓に向けて、同社の販売・PRの機会を提供。和のスーパーフードとして注目が高まっている「甘酒」を共同開発し、10月に発売した。今後、著名なアーティストとの限定商品を企画し、料亭やファッションブランドでの展開も検討していく。海外からは日本食や日本酒が注目されているが、国内ではワインの日常化などの嗜好の変化により、日本酒の消費量は減少傾向。今後は日本国内の生産人口減少により、酒類全体の消費量も減少推移になると言われている。日本の伝統文化の継承を、地域の企業が単独で行うにはハードルが高いが、行政や流通、ファン組織、協力企業の共創により、地域の伝統文化の継承に取り組んでいくことになる。

 西條社長は「私は利休蔵に従事する社員と共に世間の皆様に『うまいすばらしいお酒』と評価されるお酒を造ることが、皆様への感謝の気持であり使命であると自覚しております。『千利休』翁の名声に並べるよう、「利休蔵」も確実に根を張り豊かな実りをもたらすような大樹に育て、この日を幾百年否、幾千年の樹齢を重ねられるような大事な一歩の日であると思っております」とあいさつした。

 【「千利休 初しぼり」の商品概要】▽原材料=米(国産)・米麹(国産米)▽原料米=山田錦100%▽精米歩合=55%▽アルコール度数=17度(予定)▽その他=純米吟醸酒、無濾過・無加水・本生▽販売日=11月下旬▽希望小売価格(税込)=1・8l/5000円、720ml/2500円