日本酒造組合中央会が税制改正要望書を作成

2016年09月06日

 日本酒造組合中央会は「平成29年度清酒・単式蒸留焼酎及びみりん二種の酒税制度等に関する要望書」をまとめ政府与党、民進党などに提出した。平成29年度の要望は、①「國酒」の酒税の減税②「國酒」の酒税制度の見直し③外国人旅行者に酒蔵で販売した酒類に係る酒税の免税制度の創設④日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置の適用期限の延長⑤制度の簡素合理化――の5項目となる。

 「國酒」の酒税の減税については、「酒類には極めて高額な酒税が課せられ、これに消費税が併課されている。国際的に共通する原則であるとしても、今般の消費税率の引上げは大幅なもので、中小企業集団である日本酒、本格焼酎・泡盛、みりん二種製造業界は、税負担の更なる増加が企業経営に与える影響に大きな危惧を抱いている」とし減税を求めた。

 「國酒」の酒税制度の見直しについては、「現行の酒税制度は、『國酒』について、改善すべき問題を抱えた制度となっているので、中小蔵元の負担力に即応した税負担とするなどふさわしい税制上の取り扱いにしてもらいたい」とした。

 特に日本酒は、「歴史的にわが国の主要な酒類であったことから、税収確保のため相対的に重い酒税負担を強いられている。同じ醸造酒であるにもかかわらず果実酒に比し日本酒の税負担がはるかに高い」と指摘。類似する酒類間の税負担の公平性の観点から、日本酒の酒税負担を大幅に軽減したうえ、酒の文化性を守る観点から、歴史的遺物とも言える「合成清酒」の名称変更を求めた。

 焼酎については、「連続式蒸留しようちゆう」または「しようちゆう甲類」との名称の速やかな是正を要望した。

 みりんについては、「『みりん風調味料』、『発酵調味料』との名のもとに、酒税は全く納めず、表示などの法的ルールも無いまま『料理酒』などの商品名も利用して市場を混乱させており看過し難い」とし、酒類でないものには、酒類と紛らわしい表示を禁止するための法規定の制定、乱用を許している酒税法体系上の規定の是正、公正取引法令の厳格な運用について、速やかな対応を要望した。

 今回初めての要望となった「外国人旅行者に酒蔵で販売した酒類に係る酒税の免税制度の創設」については、近年、訪日外国人旅行者数が増加している中、「観光ルートの一つである酒蔵ツーリズムの魅力を高め、地方を訪れる外国人旅行者数を増やしていくことで、観光振興、地域活性化・地方創生、日本産酒類の更なる販売促進・輸出促進を図ることができる」とし、また「日本再興戦略2016」でも日本産酒類について、「酒蔵ツーリズム等のプロモーションの充実や免税店制度の活用」を図ることが掲げられていることから、「酒蔵に外国人旅行者を呼び込むことで、観光振興や日本産酒類の更なる販売促進等を図るため、消費税の輸出物品販売場である酒蔵において訪日外国人旅行者に酒類を販売した場合には、消費税に加えて酒税についても免税とできるような制度の導入」を要望した。

 そのほか同中央会からは、「日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置の適用期限の延長」「制度の簡素合理化」を求めることとなった。