「果実酒等の製法品質表示基準」Q&A

2016年07月22日

 国税庁は昨年10月に定めた「果実酒等の製法品質表示基準」のQ&Aをまとめ公表した。

 主なQ&Aは次のとおり。

 【定義】

 Q 酵母の水戻し、製造工程中に加える物品等の溶解・分散等のために水を使用した場合、日本ワインから除かれる「原料として水を使用したもの」に該当するか。

 A 必要最小限の水を使用したものは、その酵母や加える物品として取り扱う。従って日本ワインから除く「原料として水を使用したもの」には該当しない。

 Q 日本ワインをカーボネーションしたスパークリングワインは日本ワインに該当するか。

 A 酒類に炭酸ガスを混和した酒類の品目は酒税法上、混和前の酒類の品目とすることとされている。日本ワインは酒税法の果実酒の定義を基本にしていることから、質問のスパークリングワインは日本ワインとして取り扱う。

 【記載事項の表示】

 Q 日本ワインには必ず「日本ワイン」と表示しなければならないのか。

 A 日本ワインには一括表示欄に8ポイント(容量200ml以下の容器の場合は6ポイント)の活字以上の大きさで「日本ワイン」と表示しなければならない。一括表示欄以外への「日本ワイン」の表示については規定はないが、消費者の商品選択に資する観点から、主たる商標を表示する面にも「日本ワイン」の表示を行うことが望ましい。

 Q 原材料名の表示順は必ず重量で判断しなければならないのか。

 A 原則として使用した原材料の重量順としている。酒類は液体で、例えば国内製造ワインと輸入ワインを混和した場合など、それぞれの原材料の重量を算出することが困難な場合には重量に変えて容量の順で表示しても差し支えない。

 【特定の原材料を使用した旨の表示】

 Q 国内で製造された濃縮ぶどう果汁を原材料とした国内製造ワインでも「濃縮果汁使用」など表示をしなければならないのか。

 A 濃縮果汁が国産か外国産かにかかわらず表示する必要がある。

 Q なぜ主たる商標を表示する側に「特定の原材料を使用した旨の表示」を行う必要があるのか。

 A 店頭に陳列されたワインについて、消費者が日本ワインと他の国内製造ワインとを容易に区別できるよう、一般的に正面側を向いて陳列が行われる主たる商標が表示されている側に当該表示を行うこととした。

 【地名の表示】

 Q 日本ワインに表示する地名として、都道府県より広い「東北」や「九州」等の地名を表示することはできるか。

 A 「地名」には社会通念上、特定の地域を指す名称が含まれるので、「東北」や「九州」等も「地名」に該当する。

 Q ワインのびん詰場所の地名を表示することはできるのか。

 A 日本ワインに限りぶどうの収穫地または醸造地の地名を表示できることとしている。びん詰場所はこれらに該当しないので、表示することはできない。

 Q ぶどう品種「甲州」を100%使用した日本ワインを製造しているが、甲州で収穫されたものでなく、醸造地も甲州市ではないが、ぶどうの品種名として「甲州」を表示できるか。

 A 「甲州」や「甲斐ノワール」等、ぶどうの品種名と地名が同一、またはぶどうの品種名に地名が含まれている場合があるが、これらはぶどうの品種名として表示することができる。

 Q なぜ日本ワイン以外は醸造地の地名も表示できないのか。

 A 日本ワイン以外の国内製造ワインに国内の地名が表示されている場合、消費者が日本ワインであると誤解する恐れがあることから、日本ワイン以外については醸造地も含めて地名の表示はできないこととしている。

 Q 他の製造場で醸造されたワインを購入(未納税移入)し、自社の製造場で醸造したワインとブレンド(混和)した場合、自社の製造場の地名を醸造地として表示することはできるか。

 A 醸造地が2カ所存在することになるので、その2カ所の醸造地を両方表示する必要がある。

 【ぶどうの品種名の表示】

 Q 日本ワイン以外の場合、容器または包装にぶどうの品種名を表示することはできないのか。

 A 一括表示欄に限りぶどうの品種名の表示ルールに従ってぶどうの品種名を表示することができる。

 Q ぶどうの収穫地と醸造地が同じ地域にない場合でも「山形シャルドネ」などの表示はできるのか。

 A ぶどうの収穫地とぶどうの品種名の組み合わせによる表示は、当該収穫地で収穫された単一品種のぶどうを85%以上使用しており、一括表示欄に①醸造地の表示②原材料のぶどうの原産地として表示したぶどうの収穫地である「山形県産」を表示している場合は表示できる。

 【ぶどうの収穫年の表示】

 Q 日本ワイン以外の場合、容器または包装にぶどうの収穫年を表示することはできないのか。

 A 日本ワイン以外の国内製造ワインについては、容器または包装にぶどうの収穫年を表示することはできない。

 Q 2015年に収穫したぶどう90%と前年の2014年に収穫したぶどう10%を使用した日本ワインについて、ぶどうの収穫年について「2015年産90%、2014年産10%」等、割合を表示することはできるのか。

 A ぶどうの収穫年については、表示する収穫年に収穫したぶどうの使用量が85%以上の場合に、その収穫年(2015)を表示できることとしており、それ以外の収穫年(2014)を表示することはできない。

 Q 酒類の品目は一括表示欄に記載していれば主たる商標を表示する側への表示は必要ないのか。

 A 一括表示欄に他の表示義務事項と一括して記載している場合、主たる商標を表示する側への品目の表示は必要ない。