日本酒造組合中央会の正副会長は7月13日、改選後初の記者会見を開き、業界の諸問題と任期中に取り組む課題などを説明した。3期目に突入した篠原成行会長は「何とか任期中に底打ち宣言を行いたい」とし、需要開発など重点課題を述べた。
冒頭、篠原会長は、「昨年4月から今年3月までの累計の清酒課税移出数量は、99・9%となり、もう少しで底打ちというところまできた。昨年は『清酒業界を取り巻く環境は良くなってきている』と申し上げたが、環境に加えて数字も良くなってきている。特定名称酒はここ数年、好調に推移しているが、一般酒の減少が大きく、全体の数字に影響していたが、一般酒についても持ち直してきている。来年こそは〝底打ち宣言〟をしたいと思う」と述べた。
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会見要旨は次のとおり。
――税制改正について。
篠原会長 今年は税制改正の谷間の年となることから、酒税の改正があるとの期待を持っている。その際、われわれの要望である、ワイン並み課税や呼称の問題に取り組んでもらうよう、引き続き要望していく。また、インバウンドによる酒蔵での買い物について、消費税や酒税の簡素化の議論について、始まるようだが、ぜひ実現してもらえるよう、要望していく。特に来年は租特87条の期限となることから、この延長も要望していくことになる。
――清酒の低価格競争について。
大倉治彦副会長 一部の大手メーカーは、数量を維持するために、さらに価格を下げるという悪循環に陥っているように感じる。個人的には気にしていないが、これにより影響を受けている蔵もあるので安値の取引はやめてもらいたいと思う。数量が減っても金額を維持できるような戦略をとってもらいたい。
――需要開発について。
小西新太郎副会長 最盛期に比べて市場は3分の1以下に減少している。これを真摯に受け止め、需要開発に取り組んでいきたい。一方で、若者や女性から少しづつ再認識され始めており、またインバウンドの動きや輸出も好調に推移している。各省庁の応援もあることから、これを生かした取り組みを深めていきたい。
――日本酒フェアについて。
佐浦弘一副会長 日本酒フェアは今年も6400人の来場があり、好評だったが、会場が手一杯でより多くの人に楽しんでもらえるよう、再検討が必要だと思っている。来年の開催に間に合わないかも知れないが、会場の検討や内容の検討を開始したい。
――10月1日全国一斉乾杯について。
佐浦副会長 目標数は10月1日にちなんで10万1000人での乾杯を目指すが、あくまで目標。数字ではなく、昨年よりも多くの人で乾杯を行いたい。昨年は計画から開催までの準備期間が短かったため、余裕がなかったが、今年は十分な時間がある。インターネットで呼びかけるとともに、流通の皆さんにも協力をいただき、ぜひとも達成したいと思う。また、昨年に引き続きシンガポールでも実施するとのことで、中央会としても後援する。