大阪国税局 日本ワインシンポジウム

2016年07月12日

 【大阪】大阪国税局は6月25日、日本ワインの保護と需要振興を図ることを目的に「日本ワインシンポジウムIn関西」を大阪市北区のグランフロント大阪のナレッジシアターで開催した。

 同イベントは、平成27年10月にワインのラベル表示のルールである「果実酒等の製法品質表示基準」を定め、「日本ワイン」というカテゴリーを定義したことによる認知度の向上を目指すとともに、日本および関西のワインの魅力を広く伝えることを目的としてもので、一般消費者および酒類業界関係者を対象に催した。

 主催者あいさつで同局の藤田博一局長は、「日本ワインは今後さらに発展する可能性を秘めている。大阪もかつてはぶどう生産者が多く、関西には多くのワイナリーが存在する。本日、関西2府3県のワイナリー13社による関西ワイナリー協会発足会が開催された。今後の関西のワイン市場に期待する」と語った。

 「基調講演」では、酒類総合研究所の後藤奈美理事長が講師となり、世界のワインづくりの歴史、国別の年間消費量、日本のワインの歴史やワイン消費量の変遷などをスライドを交えて分かりやすく説明した。講演の中で後藤理事長は、国内市場におけるワイン流通量の構成比について、輸入が69・9%、国内分が30・1%の中で、いわゆる「日本ワイン」がまだ3・5%を占めるに過ぎないことを示した。さらに、「高温多湿な夏」「ワイナリーがぶどうを栽培する割合が低い」「大メーカーと中小ワイナリーの差が大きい」などの課題を挙げたうえで、「日本ワインは、日本人の嗜好にあったワインが多く、『輸送コストが少ない』『生産者の情報が届きやすい』『造り手の“顔”が見える』という点で消費者にも近い。消費者に信頼されるワインという部分を強みとして、今後日本ワインが発展することを願う」と強調した。

 続く「パネルディスカッション」では、岡昌治氏(日本ソムリエ協会名誉会長、ロイヤルホテル理事)、高井利洋氏(関西ワイナリー協会会長、カタシモワインフード代表取締役)、中川欣也氏(神戸みのりの公社理事長)、森なおみ氏(インプリージョンプロデューサー)らがパネリストとなり、日本と関西のワインの現状と今後についてトークを行った。ディスカッションでは、ぶどう生産者の減少や日本ワインの価格の高さ、そして日本の食事との相性の良さなど「問題点」と「魅力」を交えた熱い会話が交わされた。