酒税法など改正法参院で可決、成立

2016年05月31日

 酒税法および酒税の保全および酒類業組合などに関する法律の一部を改正する法律」が5月27日、参議院本会議で可決、成立した。同法律改正で、「公正な取引の基準」を法制化し、基準を下回る廉価販売には免許取り消しも含んだ罰則が盛り込まれ、酒類小売業界は大きく変化することが予想される。

 酒類販売の公正取引のルール作りや酒類販売管理研修の義務化などを盛り込んだ「酒税法および酒税の保全および酒類業組合などに関する法律の一部を改正する法律」が5月27日、参議院本会議で可決、成立した。

 この法律は、酒類に関する「公正な取引の基準」を法制化。従わなかった酒類製造業者または酒類販売業者は公表され、さらに酒税の円滑かつ適正な転嫁が阻害されるときなどは命令され、命令に違反した場合は免許の取り消しなども盛り込んだ。さらに未成年者飲酒防止およびアルコール健康障害の防止などの点から、酒類販売管理研修を義務化。遵守しない場合は勧告、命令、罰金となるほか、研修事績を記載した標識の販売場ごとの掲示も義務化された。

 全国小売酒販組合中央会は小売業界の窮状を打破するため請願の採択、アルコール健康対策関係者会議への委員選出、同法律改正を〝事業計画3本柱〟と位置づけ活動を展開してきたが、今回の議員立法成立ですべてが達成されたことになる。

 今後、1年以内に施行されることとなり、財務省、国税庁による基準の作成が行われるが、価格について具体的な指標となる〝基準〟がどのようなものになるのかが最も重要になる。全国小売酒販組合中央会では、特殊性を有する酒類の過当な廉価競争および酒類が〝おとり商品〟として扱われることに歯止めをかけ、酒類販売環境の整備と真の消費者利益を求め、実効性のある告示となるよう求めていくことにしている。

 酒税法などの改正を受け、全国小売酒販組合中央会の松田武会長は、「成立までには各党議員連盟の陳情、ヒアリングなど機会を通じ超党派の先生方に多くの時間を割きご議論いただいた。資金・人員など困窮極める中組合役職員が異体同心となって昼夜休みなく行った活動、ご協力を頂きました関係各位の御尽力に改めてお礼申し上げる」との談話を発表した。

 当該法律は、最低限の公正取引のルール作りと酒類販売管理研修の義務化などを盛り込み、到酔性・習慣性といった特殊性を有する酒類を取り巻く環境の整備を積極的に進める上で大きな意義を有すものだ。

 平成22年5月のWHO総会における「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」の採択、平成25年12月に成立した「アルコール健康障害対策基本法」など、アルコールをめぐる議論は国内外で高まり見せている。

 全国小売酒販組合中央会並びに政治連盟では、長期的な観点から社会の為と一途に信念し、広く一般から40万筆余を集め、平成26年6月に採択された「健全な飲酒環境の整備に関する請願」を具体化から、2年に亘り取り組んできた。

 請願採択とこの度の議員立法が両輪をなし、街の酒屋が再び商店街、町内会、自治会などを通じ地域のためにしっかり働き、地域を支え守っていくことが、我々に与えられた使命であり責任であると考ている。

 今後は、法改正の肝である「公正な取引の基準」策定が行われる。基準が真の国民利益となるよう、日本社会に根差す業界団体としてしっかり協力すると共に、全国の組合員一人ひとりがそれぞれの街で尽力していく。