公正な取引の基準を法制化(衆議院財務金融委員会)

2016年05月18日

 衆議院財務金融委員会は5月10日に開いた委員会で酒税法および酒税の保全および酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を委員会提出法律案として全会一致で採択した。

 冒頭、財務金融委員会の宮下一郎委員長が趣旨説明を行い、「酒類は国の重要な財政物資であり、酒税の確保および酒類の取引の安定を図る必要がある。また酒類はアルコール飲料として致酔性、依存性を有し、社会的配慮を要するものである」とした上で、「酒類の取引の現状を見ると、平成26年度における公正取引委員会による不当廉売にかかる注意件数のうち、酒類にかかるものは全商品の中で一番多く、国税庁による平成18年の『酒類に関する公正な取引のための指針』制定後も、酒類の不当廉売にかかる注意件数は制定前と比較して増加している。また平成22年にWHOにおいてアルコールの有害な使用低減の世界戦略が採択され、我が国でもアルコール健康障害対策基本法が制定され、平成26年施行されている。現在、販売場ごとに選任されている酒類販売管理者に対する酒類の販売業務に対する研修は法令上、努力義務にとどまっており、さらに定期的な研修受講は任意であるため、初回の受講率は約9割であるものの再受講率は3割となっている。このような状況に鑑み、また、40万超の国会請願を踏まえ酒税の保全および取り引きの円滑な運行を図るとともに酒類の適正な販売管理の確保を図るため所要の改正を行う」とし、要旨、次の改正を行うとした。

 (1)財務大臣は酒類の公正な取引につき、酒類製造業者または酒類販売業者の適切な経営努力による事業活動を阻害して消費者の利益を損なうことのないように留意しつつ、酒類製造業者などが遵守すべき公正な取引の基準を定めるものとすること。またその基準を遵守しない酒類製造業者などに対して、指示、公表、命令をすることができ、命令違反に対しては免許の取り消しができること。

 (2)公正な取引の基準の実効性を確保するため、財務大臣の質問検査権の対象に、酒類業組合など酒類製造業者または販売業者の関係事業者を追加すること。

 (3)酒類小売業者は、酒類の販売業務に関する法令にかかる研修を受けた者のうちから酒類販売管理者を選任しなければならないこととするほか、選任した酒類販売管理者に対しては、財務省令で定める期間ごとに研修を受けさせなければならないこと。