酒類総研後藤理事長が会見

2016年04月12日

 【東京】独立行政法人酒類総合研究所の新理事長に就任した後藤奈美理事長が4月7日、記者会見を開き、抱負などを語った。

 酒類総合研究所は明治37年5月に大蔵省醸造試験所として創設。その後、昭和24年に国税庁設置により国税庁へ移管。平成7年に国税庁醸造研究所と改称し、平成13年4月の独立行政法人化により現名称となっている。その間、31人の所長、独法からは6人目の理事長となるが、女性がトップに就任するのは今回の後藤理事長が初めてとなる。

 会見で後藤理事長は要旨次のように話した。

 後藤新理事長

 「私は昭和58年に国税庁に採用され、大阪の鑑定官室に入り研究してきた。研究所に異動してからは主にワイン関係の仕事が多かったが、清酒の微生物の研究についても仕事をしてきた」。

 「研究企画知財部門に移ってからは日本産酒類の輸出促進に関連し、当所の大きな業務として掲げられたことから、海外に向けた英語のリーフレットの作成や清酒の専門用語の英語リストの作成なども行ってきた」。

 「今年度から始まる第4次中計の大きな取り組みとして適正課税、酒類産業のますますの発展、技術力向上の支援、日本産酒類の輸出促進などが掲げられているが、この目的達成のための研究に取り組んでいく。これらの取り組みを行っていくためには、酒類業界や関連団体、大学などとの連携は欠かすことができないので、連携にも力を入れるとともに、情報発信も強化していきたい」。

 ――長期保存に対する劣化物質の特定はできたが、抑制する酵母の研究の進捗については。

 「できれば近いうちに発表できればと思う。醸造方法においても劣化しにくくできるが、これについては当所のホームページにも掲載しているので確認してもらいたい」。

 ――今後の理事長職については外部からの採用はあるのか。

 「独立行政法人の役員については半分が民間人ということが望ましいとされているので、その方針に従って進めていきたい」。

 ――初の女性理事長となるが特に取り組みたい課題は。

 「特に産学官の連携が重要だと思っているし、消費者とのつながりも強化していきたい。私が採用されたころは女性は少なかったが、現在では多くの女性が活躍している。そういう人たちがさらに活躍できるよう、良い先例になれるように努力したい」。

 ――一層の輸出促進のための課題は。

 「老香を抑えることが重要だと思っている。その研究成果を発表したい。情報面でもまだまだ足りない。英語表現についても造りは充実しているが、サービス面がまだ足りない。サービス面の英語表現を充実させていきたいと考えている」。

 【後藤新理事長略歴】

 昭和32年9月22日生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。昭和58年国税庁採用、平成3年8月からボルドー大学留学(1年間)。平成22年醸造技術応用研究部門長、平成25年研究企画知財部門長と歴任し、平成26年8月に理事に就任していた。三重県出身。