宮崎県酒造組合 県産本格焼酎鑑評会を開催

2016年02月04日

 【宮崎】本格焼酎主産地の南九州では1月下旬から2月上旬にかけ各県鑑評会が開催される。品質向上につなげるもので、1月26日には宮崎県酒造組合(渡邊眞一郎会長)が主催する第40回「宮崎の本格焼酎鑑評会」が宮崎市のニューウェルシティ宮崎であった。県内の焼酎メーカーから出品された116点に対し、熊本国税局・戎智己鑑定官室長をはじめ13人が官能審査を行い同日中、審査結果が出品者に伝えられた。渡邊会長は「宮崎県は出荷量で日本一になったが是非キープしながら品質向上に努めていただきたい」と語った。

 「宮崎の本格焼酎鑑評会」では入賞場の選定や公表を行っていない。賞獲得にとらわれず、個性の発揮や新たな酒質実現への挑戦を促すことが目的だ。脅威的な時短で審査結果を集計し成績を出品者へ伝える独自運営で特異。それを基に鑑評会審査と同日、同会場で審査員から個別指導を受けることが出来る。

 今回の鑑評会対象は、平成27年1月以降に自己の製造場で製造した本格焼酎。県内焼酎製造21社25場から116点の出品があった。▽芋焼酎(黄金千貫)=51点▽同(紅系)=21点▽麦焼酎=33点▽米焼酎=1点▽そば焼酎=10点。

 審査にあたり出品酒を原料や蒸留法(常圧・減圧)、イオン交換樹脂処理の有無で区分。熊本国税局・戎智己鑑定官室長を審査長に、同局、県食品開発センター、県内メーカーの13人が、点数(4点法)及び香味に関する22項目で評価した。

 審査は9時30分から11時30分まで。13時ごろまでに審査結果をまとめた。その間90分ほど。現場で人海戦術で評価データを入力し仕上げ切る熱も凄まじい。賞授与はないが、成績上位20%ほどに印を付け、審査終了後15時30分ごろまで続いた出品者利き酒の参考とした。

 戎審査長は審査講評のなかで、黄金千貫使用の芋焼酎について「全体的に味がきれい。芋の成長不足に伴う欠点はないが、きれいになったのは芋の出来の影響かもしれない」と指摘。「気になったのがゴム臭やカビ臭。蒸留以降に付いたと思われ、瓶詰めされるまでしっかり管理してほしい」と注意を促した。紅系芋を使った芋焼酎は「原料特性がよく出て甘さ、なめらかさが際立つタイプが多かった」と評した。麦焼酎の香りは良好だが「(味に)もう少し甘さが出るといい」と助言した。そば焼酎は同地が本場。「エステル系の華やかな香りがあるが、渋みや荒さが目立つものがあり、もう少し貯酒し蔵出しした方がいい」とした。

 講評に際し渡邊会長は「環境は厳しいが、焼酎は関東圏、その以北で伸びている。まだ伸びる余地は十分にありキメ細かな営業展開をしてほしい。日本の伝統的な本格焼酎を日本に定着させ、海外へ発信していくには品質が何よりの基礎となる」と鑑評会の一層の活用を訴えた。