輸出に関するアンケート調査

2016年02月02日

 国税庁は清酒製造免許を有する清酒製造業者に対し、輸出に関するアンケート調査を初めて実施した。それによると、清酒業者の半数が輸出を行っており、また、輸出するお酒については、特定名称酒が輸出全体の55・7%と国内より20%近く高い割合を示し、海外では特定名称酒に高い関心があることが伺える結果となった。

 調査は平成26年10月1日現在で清酒製造免許を有する清酒製造業者1613者に対して行われ、1526者から回答を得た。

 それによると回答した1526者のうち、ほぼ半数の43・6%が清酒の輸出を行っており、大手(1300kl超の課税移出数量)では41者すべてで輸出を行っていることが分かった。輸出を行っている製造業者数は中小が92・9%を占めるものの、清酒の輸出数量の69・5%は大手による輸出となっている。

 また平成26年から新たに輸出取引を開始した者は41者、輸出取引年数が5年未満の者は195者で全体で29・3%と最も多く、近年の清酒輸出の好調を背景に、直近になり多くの清酒製造業者が輸出を開始したことも分かった。

 現在、総製成数量に占める特定名称酒の割合は37・1%だが、輸出数量に占める特定名称酒の割合は輸出全体の55・7%を占めており、輸出取引では特定名称酒の割合が製成数量の場合と比較して高くなっている。

 輸出製造業者がどれくらい輸出しているかでは、5kl未満が最も多く480者(全体の72・2%)で、100kl以上を輸出している企業は44者にとどまった。

 輸出業者の多い国税局は関東信越局が138者と最も多く、仙台局(116者)、大阪局(105者)、広島局(71者)、名古屋局(60者)、金沢局(41者)と続く。

 輸出先別では、香港へは383者が輸出、アメリカは314者、台湾が274者、シンガポールは246者、オーストラリアは233者、韓国は202者、中国は177者が清酒を輸出しており、全体としてはアジア圏への輸出が目立つ結果となった。一方で大手と中小の割合で見ると、韓国、イギリス、フランス、タイといった国では大手の占める割合が高くなっている。

 輸出数量が多い順では、アメリカが4319kl、韓国が3307kl、台湾が1823klとなっており、上位3カ国で過半数を占めた。一方で輸出先国別の特定名称酒の割合を見ると、アメリカでは86・5%が特定名称酒に対して特定名称酒以外は13・5%に留まり、韓国では特定名称酒が26・3%に対し73・7%が特定名称酒以外となり、台湾でも20・7%が特定名称酒に対し、特定名称酒以外は79・3%などとなり、アメリカ、カナダ、ドイツでは特定名称酒が約8割~9割を占め、韓国、台湾、タイでは特定名称以外が7割を占めるという結果となった。

 アンケートでは輸出製造業者に対し輸出に対する意識調査も行われており、平成25年と比較した輸出数量の増減について増加したと回答した者は310者で、減少と回答したのは132者にとどまった。大手と中小別で見ると、大手は半数以上の57・4%が増加したと回答している一方、中小では45・8%となっており、増加したと回答した割合は中小よりも大手が多く、反対に減少と回答した者は大手よりも中小が多いという結果となった。輸出が増加したと回答した者の増加理由では、「新規受注の増加」が最も多く、次いで「既存顧客からの受注増加」、「営業・広報活動を積極的に行うなど企業努力」「国や都道府県、ジェトロなどによる商談会、展示会などの販売開拓支援」「業界団体によるイベント、展示会、試飲会などの取り組み」「同業者や専門家による助言、指導」などとなった。また減少したと回答した者の減少理由では、「既存顧客からの受注減少」が最も多く、次いで「原発事故による風評被害」「自社製品の競争力の低下」「為替変動の影響」などや「イベントなどの1回限りの取り引き」もあった。

 今後の輸出の意向については、「拡大」と回答した者が約7割を占め、「現状維持」と合わせると9割以上となり、清酒製造業者も輸出に高い関心を持っていることが分かった。