平成27年ビール類の課税出荷状況 11年連続で前年割れ

2016年01月27日

 ビール業界がまとめた平成27年1月―12月のビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル酒類)の課税出荷数量は537万9518klで、前年の540万6686klに比べ前年比0・5%減少となり、わずかに前年に届かなかった。平成17年以降11年連続で前年割れが続く結果となった。業務用での樽生ビールの活性化やギフト市場でのプレミアムビール好調、各社の“ゼロ発泡酒”の浸透などプラス要因もあったが、全体的な需要減少に歯止めをかけることはできなかった。出荷数量の内訳を見ると、▽ビール=272万klで0・1%増▽発泡酒=78万klで0・3%の増▽新ジャンル=188万klで1・7%の減少――となり、新ジャンルの減少が影響した。

 ビール業界がまとめた平成27年のビール類課税出荷数量は537万9518kl、0・5%減と、惜しくも前年をわずかに下回った。これでビール類は11年連続でマイナスを示し、過去最低を更新した。一方でジャンル別で見ると、ビールは0・1%増を示し、平成8年以来、19年ぶりのプラスを示した。

 ビール好調を後押ししたのは業務用市場でのプラスで、一部メーカーでは「インバウンドも若干影響したのではないか」と予想している。また、各社の積極的な新商品投入およびリニューアルなども市場活性化につながり、さらには発泡酒で「糖質ゼロ・プリン体ゼロ」の“ゼロ発泡酒”が浸透したことなどはビール市場にとって追い風となった。しかし、新ジャンルの落ち込みが影響し、ビール類全体では減少となった。

 各分野別の出荷状況を見ると、ビールは272万594klで0・1%の増加を示した。業務用での樽生活性化が貢献した。発泡酒は77万8093klで、0・3%の増加。各社のゼロ発泡酒への注力が功を奏した。新ジャンル酒類は188万831klで1・7%減と前年に引き続き減少し、もっとも苦戦を強いられている。

 各分野別のシェアは、▽ビール=50・6%(平成26年度は50・2%)▽発泡酒=14・5%(14・4%)▽新ジャンル酒類=34・9%(35・4%)となり、ビールが増加、新ジャンルが減少した。

 発泡酒の税制を考える会がまとめた新ジャンル酒類のデータによると、総計188万831klのうち、「その他の醸造酒・発泡性①」のものが52万4924klで6・6%減、「リキュール類(発泡性①)」のものが135万5907klで0・3%増を示している。

 ビール各社の出荷数量は、▽アサヒビール=205万3547kl(0・7%減)▽キリンビール=179万6269kl(0・2%増)▽サントリー=84万5616kl(1・8%増)▽サッポロビール=63万3775kl(4・8%減)――となり、引き続きアサヒビール社が首位をキープしている。各社のシェアは、▽アサヒビール=38・2%(平成26年は38・2%)▽キリンビール=33・4%(33・2%)▽サントリー=15・7%(15・4%)▽サッポロビール=11・8%(12・3%)▽オリオンビール=0・9%(0・9%)を示している。

 昨年のビール市場は、さまざまなプラス要因があったものの、減少で着地し、11年連続で前年を下回る結果となった。樽生を中心にビールは元気を取り戻しつつあるものの、チューハイやカクテル類などの市場拡大をはじめ他酒類への飲用移行に伴い、ビール類全体が影響を受けている。今年各社では、さらにビール活性化の施策を進めるとともに、昨年から注力している「クラフトビール」をさらなる成長を図る施策を打ち出し、従来のビールとともに「ビールの楽しさ」を訴求している。ビールが起爆剤となり、「とりあえずビール」の言葉がよみがえることを願いたい。