独立行政法人酒類総合研究所は平成27年産米の溶解性の予測を発表し、山田錦など晩生品種で溶けやすく、五百万石など早生品種では溶けにくいと予測した。登熟期の気象データなどから割り出したもので、酒造現場で生かしてもらいたいとしている。
原料米の性質は、同じ品種でも生産年や生産地の気象条件によって左右される。酒造現場では、酒造初期には米の性質が良く分からないまま仕込みを行い、様子を見ながら醸造工程の管理を行っているのが現状だった。
酒類総合研究所は、気象条件が原料米の酒造適性へおよぼす影響を明らかにするため、清酒の製造管理にもっとも重要なお米の溶けやすさ(溶解性)と気象データとの関係を研究。その結果、イネの登熟期の気温がデンプンの性質を左右し、お米の溶けやすさに影響をおよぼすことが分かり、このことからイネの登熟期の気温によって精度よく原料米の溶けやすさを予測できることが明らかになった。
この知見から平成27年産の酒造用原料米の溶解性は、7月下旬から8月上旬に出穂する五百万石などの早生品種は、東日本では平年並みからやや溶けにくく、8月中旬に出穂する品種は、全国的に平年並みからやや溶けやすい。8月下旬から9月上旬に出穂する山田錦などの西日本の晩生品種は、平年より全般的に溶けやすく、昨年との比較では昨年並みからやや溶けやすいと予測した。
平成27年産清酒原料米の溶解性予測は次のとおり。
<北海道・東北>
平年並みの傾向で、昨年との比較では昨年並み。
<関東信越>
一部の地域で早生品種は昨年同様平年よりやや溶けにくいが、8月中旬以降出穂する晩生品種は平年並みからやや溶けやすく、昨年との比較では昨年並み。
<北陸>
平年並みの傾向で、昨年との比較では昨年並み。
<東海・近畿・中国>
早生品種は平年並みからやや溶けやすいが、昨年との比較では昨年並みからやや溶けにくい。山田錦などの晩生品種は平年より溶けやすいが、昨年との比較では昨年並みからやや溶けやすい。
<四国・九州>
早生品種は平年並みからやや溶けやすく、昨年との比較では昨年並み。晩生品種は平年並みからやや溶けやすく、昨年との比較では昨年並みからやや溶けやすい。