TPP協定2国間交換文書を公表

2015年11月17日

 政府は10月5日に妥結したTPP協定の全文を公表するとともに、アメリカやカナダなど2国間で結んだ交換文書についても公表した。

 合意内容によると、日本から輸出される酒類は、全締約国で関税が撤廃となる一方、日本に輸入される酒類については、ボトルワインは段階的に関税を緩和し8年目に撤廃となるほか、清酒・焼酎についても11年目まで関税撤廃期間が設定され撤廃することとなった。

 2国間で交わした交換文書は、酒類については主に地理的表示に関する項目となっている。交換文書の概要は次のとおり。

 <アメリカ・酒類の表示の保護に関する文書>

 日本はバーボンウイスキーまたはテネシーウイスキーがアメリカの法令に従いアメリカで製造されていない場合には日本国内での販売を禁止する。また、アメリカは山梨ワイン、壱岐焼酎、球磨焼酎、薩摩焼酎、琉球泡盛、白山清酒、日本酒が日本の法令に従い日本で製造されていない場合にはアメリカ国内での販売を禁止する。

 <カナダ・地理的表示である自国産酒類について、その保護の事実を認識する文書>

 それぞれ自国で保護されている地理的表示(カナディアンウイスキーなど)を認め、地理的表示としての保護を求めることができるようになる。

 <チリ共和国・地理的表示に関する書簡>

 日本とチリ共和国との間の協定(日チリ経済連携協定)で保護を約束している酒類(薩摩焼酎、チリ産ピスコ)の地理的表示について、両国の理解を確認するものとしている。

 <ペルー・地理的表示に関する書簡>

 日本とペルーとの間の協定(日ペルー経済連携協定)で保護を約束している酒類(壱岐、球磨、琉球およびペルー産ピスコ)の地理的表示について、両国の理解を確認するものとしている。

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 地理的表示以外ではアメリカとの間で「蒸留酒のための充填の基準に関する交換公文」が交わされた。これは日本の酒類業界が、蒸留酒において700ml、720ml、900ml、1・8?の充填の基準を設定することを求めていたもので、TPP協定の効力が発生された日以降に、日本の酒類業団体からの請願を受領した場合にアメリカ国内で規制が改正されることになる。

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 いずれの文書もTPP協定が発行された場合に効力が発生することになる。合意内容が実現するにはまだ時間がかかりそうだ。