福岡国税局、酒類鑑評会

2015年11月10日

 【福岡】福岡国税局(垣水純一局長)は11月5日、平成27年「酒類鑑評会」の入賞製造場を発表した。北部九州3県(福岡・佐賀・長崎)で製造された清酒と本格焼酎の出品酒を品質評価するもの。3部門があり、第1位「大賞」を以下3社が受賞した。▽吟醸酒の部=「能古見 大吟醸(のごみ だいぎんじょう)」馬場酒造場(佐賀県鹿島市、馬場第一郎社長・馬場第一郎杜氏)▽純米酒の部=「六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)」今里酒造(長崎県東彼杵郡波佐見町、今里榮子社長・山下仁杜氏)▽本格焼酎の部=「五島麦(ごとうむぎ)」五島列島酒造(長崎県五島市、三﨑清一郎社長・谷川友和杜氏)。

 鑑評会は昭和31年に始まり年2回開催期があり通算92回目。同日、福岡市の福岡合同庁舎で表彰式と関係者きき酒会を行った。

 出品場数・点数は、▽吟醸酒の部=54場110点▽純米酒の部=50場83点▽本格焼酎の部=43場148点。審査はのべ56人の品質評価員(審査長=福岡国税局・吉田裕一鑑定官室長)が9月15・29、10月2・6日に行い、その品質評価と理化学分析の結果、「大賞」に3場、大賞に続く成績上位「金賞」に、▽吟醸酒の部=21場▽純米酒の部=19場▽本格焼酎の部=16場を選定した。入賞場率は▽吟醸酒=41%▽純米酒=40%▽本格焼酎=40%。

 吟醸酒の部出品110点のうち、純米吟醸酒は45点で41%を占めた。入賞22場のうち純米吟醸酒での受賞は6場(構成比27%)だった。

 審査講評では吟醸酒を「華やかな香りとなめらかな味が調和している」「香りや味がバラエティ豊か」と評価。「料理を食べながら飲用する食中酒にふさわしい押し味があるか」をポイントに燗酒で審査した純米酒は「原料米の持つ旨味を有し、深い味わいのものから後味のすっきりとしたもの、香りの高いものまで多様性が見られた」。本格焼酎に関しては「香ばしい香りとコクのあるもの、軽快な香味をもったものが見られ各製造場の個性が感じられた」とした。

 「明らかにレベルアップし多様化、オリジナリティも見られる。1社1社が哲学をもち、その哲学を表現しようとしている」との言葉もあった。

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 大賞3社の関係者が喜びを語った。

 吟醸酒の部「能古見 大吟醸」馬場酒造場の馬場社長(56)は自ら杜氏を務める造り手。今回初受賞となった。「名誉ある賞に感激している。毎年、原料処理に苦労させられるが社員一丸となって頑張った結果。うちの酒の応援をしてくれているすべての人に感謝したい」。原料米は山田錦。「コメの味がしっかり出ているタイプ。香りとのバランスがよく、うまく調和した酒になった」。

 純米酒の部大賞新設は平成21年。以来、「六十餘洲」今里酒造の受賞は2度目となり、安定した酒質レベルの高さを示した。受賞酒は山田錦を協会9号酵母で醸したもの。「とにかく飲んで美味しいお酒をと心を込めて手造りしているので、純米酒の部での大賞はたいへん光栄で嬉しい」(同社今里拓専務)。山下杜氏(65)は「地元の米と水で造った酒で、このような賞をとれたことが嬉しい。今後も地元で愛される酒造りで進んでいきたい」と語った。

 本格焼酎の部「五島麦」五島列島酒造は、平成21年製造開始の蔵元だが以来2度目の受賞となった。原料大麦は島内で栽培されたニシノホシ。三﨑社長は「製造スタッフの頑張りはもちろん、五島列島の気候や農家の頑張りも評価いただいたのだと思う。島は過疎化しているが、農業が衰退しないよう頑張っているので今回の賞は励みになる」と話した。谷川杜氏(36)も地元農家への感謝を言葉にした。「島の原料にこだわり2回目の受賞を嬉しく思うし、島に帰って生産者に有難うと報告したい」。