サッポロビール「極ZERO(ゴクゼロ)」を発泡酒として発売

2014年07月24日

サッポロビールは「極ZERO(ゴクゼロ)」を7月15日に発泡酒として発売を開始した。「極ZERO」は「リキュール発泡性①」として発売していたが、国税当局からの指摘を受け、5月製造分で終売となっていた。発泡酒に変更後も計画を上回る受注を受けるなど好調は持続している。

 「極ZERO」は、世界初となる「プリン体0・00」「糖質ゼロ」の両立を実現するため、原材料である発泡酒の一連の製造工程でプリン体を持ち込まず、かつその生成を可能な限り抑えるという開発方針のもと、「麦芽、大麦、ホップの使用量を最適化し、プリン体フリー原料を組み合わせた」サッポロ独自の製造方法を採用した新ジャンル商品として、高い人気を博していた。

 しかし、国税当局から「極ZERO」の税率適用区分に関連し、製造方法に関する情報提供の要請を受け、サッポロとしては「『極ZERO』は酒税法上、『リキュール(発泡性)①』に該当するものと認識している」が、当局の酒税法に関する法令解釈を確認しこれに沿った上で、当局から要請された資料、データの自主検証を行ってきた。現在もその検証作業は進められているが、「当局の酒税法に関する法令解釈に沿った形での事実確認が現時点ではできておらず、今後の検証の結果、『極ZERO』が『リキュール(発泡性)①』に該当しないこととなった場合、多くのお客さま、お取引先さまにご迷惑をおかけすることになる」と、これまで「リキュール(発泡性)①」の区分で発売していた「極ZERO」を6月中旬で自主的にいったん終売(5月製造分出荷終了時点)し、「発泡酒」としての再発売を目指していた。

 発泡酒「極ZERO」の注文状況は好調で、7月4日時点で計画比で104%となっており、昨年7月とほぼ同数の出荷数量となり、発売後の月間平均出荷数量を約2割上回る数量となる。さらに、生産拠点である九州日田工場、静岡工場に加え、6月下旬から千葉工場でも設備を整え、夏の最盛期に向け供給体制の拡充を図った。

 7月15日に開いた会見で、同社・尾賀真城社長は、「『プリン体0・00』や『糖質ゼロ』といった機能系商品は、半分以上が発泡酒区分で発売されており、両機能を有する『極ZERO』は発泡酒でも十分勝負できると思っている。景気も回復傾向にあり、単に価格のみで購入するという傾向は薄らいでいる」と話し、区分変更による価格上昇についても影響は限定的との見方を示した。

 同日発表した「極ZERO」マーケティング方針では、7月から12月までのテレビ広告出稿量を7500GRPを予定するなど、積極的な広告展開を実施するとともに、①お買い物ZERO円キャンペーン②お父さんのための「なるほど!プリン体セミナー&相談会③消費者キャンペーン――といったプロモーションも実施。CMタレントには引き続きお笑いタレントの三村マサカズさんと女優の桐谷美玲さんを起用。機能系ビールテイスト商品の基軸ブランドとして育成に注力していく。

 なお、同社は国税当局の酒税法に関する法令解釈に沿った形での事実確認には至っていないものの、財務的な追加負担軽減の観点から修正申告を行うとし、「リキュール(発泡性)①」から「発泡性酒類の基本税率」として修正申告することで116億円の酒税納付額の差額(延滞税含む)が発生する見込みで、これを平成26年12月期第2四半期決算で特別損失として計上する方針だ。