朝日酒造 「新松籟蔵」が完成

2011年06月24日

 【新潟】清酒「朝日山」を醸造する朝日酒造(長岡市朝日、平澤修社長)は6月20日、2年前から建築を開始していた「新松籟(しょうらい)蔵」が完成し、竣工式を開催した。

 「新松籟蔵」の特長は①人と物の動線を分けることなどから、衛生管理を徹底②最新鋭の機器を導入しているが、重要な判断はすべて人が行う③蔵全体を冷蔵庫化し、温度・湿度を工程ごとに管理する④商品開発力を強化するため、研究開発室を蔵内に設置--などがある。

 製造能力は旧松籟蔵と同様の能力(市販酒換算3万5000石)を有するが、旧蔵に比べ細やかな管理が可能となるように浸漬タンク・酒母タンクなどを小型化し、小容量、多品種製造に特化した蔵となっている。

 ほかにも、製麹工程では1室に対し製麹機1台を設置し、独立管理することで高品質な麹を製造することが可能。白米管理では入荷した米の種類ごとに2次元バーコードを導入し、最適な白米管理を実現できる自動倉庫を採用した。

 会見であいさつした平澤社長は「昭和60年の久保田発売以後、さまざまな設備投資を行ってきた。今後は旧松籟蔵を取り壊した跡地に貯蔵棟を作る計画があり、完成まであと2、3年はかかるだろう」と今後の計画を述べた上で、「先行き不透明な中、着工することに悩みはあった。しかし、旧松籟蔵は少品種、大量販売向けの蔵だった。昨今の日本酒業界は大手と地酒の戦いという側面が強まってきている。われわれは良い酒を造り販売する。それをわかってくれる人たちと歩んでいきたい。そのためには多品種で少量、高品質な酒を造ることができる蔵が必要だった」と建設に対しての想いを述べた。また、「今回の『新松籟蔵』は日本一の蔵設備ができたと自負している。投資ができるということは多くのお客様のおかげだ。今後もそういったお客様を裏切ることなく、品質本位で酒屋の正道を歩んで行きたい」と意気込みを語った。

 「新松籟蔵」は7月に試験仕込みを行い、9月中旬から本格稼働を始める。

 【新松籟蔵概要】

 ▽建物=4階建▽建築面積=3059㎡▽延床面積=1万1783㎡▽製造能力=市販酒換算約6300kl(3万5000石)▽製造可能期間=3季醸造(9月~6月)