日本蒸留酒酒造組合通常総会を開く 大宮理事長を再選

2009年06月03日

 日本蒸留酒酒造組合は5月22日、第37回通常総会を開き、任期満了に伴う役員の改選を行った結果、大宮久理事長(宝酒造社長)を再選し、副理事長は宮﨑由至氏(宮﨑本店社長)、専務理事は草部契之氏が留任となった。

 大宮理事長は、総会終了後のあいさつで要旨次のように語った。

 世界的な不況のあおりを受けて低迷が続く中、最近の食品業界においては、食品の安全性に関する問題が数多く発生している。賞味期限の偽装や冷凍餃子事件から始まり、事故米事件では酒類業界も大きな影響を受けた。この事故米事件を受けて、今年4月には「米のトレーサビリティ新法」が成立した。今後、具体的な事項が政省令によって定められるが、蒸留酒組合では酒類を原産地表示の対象にすることは適正でない旨の要望書を昨年11月に国税庁に提出している。今後の動向を注視していきたい。

 さらに「消費者庁設置関連法案」が今国会で成立する見込みだが、同法案の動向についても注視していきたい。中長期的には表示問題をはじめとして、さまざまな視点から現行制度の見直しが必要になる可能性がある。当蒸留酒業界に影響を及ぼすと思われる案件については、行政当局の理解と尽力を得られるようお願いしていきたい。

 酒類業界共通の課題として、「酒類の公正な取引の実現」が求められている。蒸留酒組合が「焼酎甲類の公正な取引のための基本的な考え方」を発表してから、すでに4年以上が経過し、この間、蒸留酒メーカー各社は、社内基準の策定、取引先への提示と、その遵守体制の構築に鋭意取り組んでいるが、必ずしも十分な成果をあげたとは言えない状況だ。新しい事業年度を迎えたこの時期に、組合員各社が意識の改革を図り、正常な取引環境を取り戻し、お互いに利益を得ることができる商売を展開するようお願いしたい。

 焼酎甲類の販売数量は、平成20年度は前年比約4%増と4年ぶりに前年の数字を上回り、約1万5000kl増加の40万9000klとなった。酒類全体の動向に比べて検討している。蒸留酒組合では、さらに順調に推移することを目指し、平成21年度も新聞などを通じて統一PRを展開したいと考えている。焼酎甲類が持つ純粋性・多様性・健康性という3つの特徴を通じて「工夫できるお酒。焼酎甲類」というテーマで焼酎甲類の良さを追求していく予定だ。