鹿児島県酒造組合連合会 組合組織を一本化

2007年09月06日

 【鹿児島】鹿児島県酒造組合連合会(本坊喜一郎会長)は8月21日、鹿児島市の城山観光ホテルで10月1日から新たに発足する、鹿児島県酒造組合の創立総会を開催した。

 新たに誕生する鹿児島県酒造組合は、県下に11あった単位酒造組合と、この11組合によって組織されている連合会を廃止し、新たに一つの組合組織として発足するもの。昭和28年に酒団法により誕生した連合会を、一つの組合組織へと変更する背景には、人口減少社会の到来により、酒類全体の消費量が減少傾向になっていること。これにより、組合員は「的確な需給見通しによる適正生産」と「量から質への転換」を図っていかなくてはならないことがあげられる。

 今後、こうした局面に対応していく上で、酒造組合の果たすべき役割は、より重要なものになっていくと考えられるのに加え、合併することによって組合機能を充実し、堅固なものとする必要も出てきた。一方で組合員数の減少という問題も、今回の合併の大きな理由になっている。県連合会が設立された昭和28年には201社あった県下の焼酎メーカーは、今年7月には121社と、設立時の6割まで減少している事実もある。

 こうした理由から、連合会は昨年12月に新設合併に向けた事務担当者会議を開催。その後、4月には奄美大島を除く10単組が組合一本化に向けて合意。5月には一本化に難色を示していた奄美大島酒造組合も、一本化に合意。6月に合併契約書を承認し、今回の一本化が正式に決定した。

 総会で本坊会長は「組合組織を維持・強化していくためにも近代化、合理化は求められている。11の単組、113社の焼酎メーカーを一本化するには、さまざまな紆余曲折があった。特に奄美大島の組合には、一本化に対して強い不安を持たれていたが、定款に存続を明記することで、一本化に合意をしていただいたという経緯がある。113社の単組というのは、日本酒造組合中央会に加盟する単組の中で最大の組織となるが、本当に一本化した組織として機能するまでには、まだしばらく時間が必要ではないか」と述べた。なお、新組合の会長には本坊氏が、副会長には相良榮二、吉野馨(専務理事兼務)の2氏が選出された。

 今回、連合会を廃止し、組織を一本化することで、今後は組合経費の削減、残余資産の活用による賦課金の軽減、各組合員の総会での発言および議決権の行使が可能、情報の迅速な伝達、組合と組合員の一体感の強化などが期待される。一方で、地区組合員の近親感の希薄化、通信費の増加、地区税務署や卸・小売との連絡不足、郷土酒の需要振興や地区単独事業開催への支障など、デメリットも予想されている。